総意を見つける選挙法
2020年06月18日
青木コーチは中央で低学年を担当しているが,今年はマンションの理事長で,外壁塗装の大規模工事を行わなくてはならない。
コーチには外壁工事で苦い思い出があった。
10年前,外壁色を3色から選ぶ決選投票で,この色だけは嫌だと思っていた色が1位となり,現在の外壁色となっていたことだ。
色決めではどうしても現色が強くなりがちだ。いい色なら問題ないが,現色は嫌だという住人が多いのも事実だった。
そこで住人の多数が納得できる色選びはないかと検討し,以下の投票法を提示した。
- 投票は2回行う
- 1回目の投票では,一人2票を与える(同じ候補に2票投じても良い)
- 1回目の投票を集計し,上位から得票数を足して,最初に過半数を超えた候補までを,2回目の投票候補とする(1回目で第1位が過半数を超えていたら,2回目の投票は行わない)
- 2回目の投票は一人1票とし,第1位を当選とする
こうすると,2回目の決選投票では,過半数が許容した色が候補となる。
実際,12色の候補を用意し,1回目の投票を行ったところ,第3位までで過半数を超えた。
現状色と,薄い小豆色,濃い小豆色の3色が残った。
この3色で決選投票を行い,薄い小豆色が採用となった。
この配色はなかなか好評で,経済週刊誌が取材に来たほどである。
また現状色にこだわっていた住民も,実際に施工した後では、「なかなかいい色ですね」との感想をくれた。
それはもしかしたら1回目の投票で自ら第2候補として選択した色だったのかもしれない。
AかBかという対立として捉えるのではなく,制度を工夫する事で,「許容できる範囲での総意」を導き出す事ができるということ。
それが少数意見を包摂できる現実的手法となるやもしれないということである。