比較優位

2020年05月25日

ノーベル経済学賞を受賞したポール・サミュエルソンによれば,「比較優位」は社会科学の概念の中で,唯一意味のある普遍的な概念だという。

これは知っておいて損はなかろう。

さて,シュートくんはお母さんの手伝いをする。

洗濯物たたみは,シュートくん一時間半,お母さんなら30分。

部屋の掃除なら,シュートくん二時間,お母さんなら一時間だ。

シュートくんに毎日一時間手伝いをしてもらうとき,どちらを分担してもらう方がお母さんは楽できるだろうか?

洗濯物たたみを頼んだとき

  シュートくん1時間で2/3終了,残り1/3を,お母さん10分,と掃除一時間でお母さんの家事時間は一時間10分。

部屋掃除を頼んだとき:

  シュートくん一時間で1/2終了,残り1/2をお母さん30分,と洗濯物たたみ30分でお母さんの家事時間は一時間。

一見,一時間で2/3やってくれる洗濯物たたみを頼んだほうがオトクのように思えるが,

部屋の掃除を頼んだ方がお母さんは1日10分の得をする。

お母さんとシュートくんの作業効率(生産性)をお母さんを1として比較すると

        お母さん   シュートくん

洗濯物たたみ    1       1/3

部屋の掃除     1       1/2

洗濯物たたみも部屋の掃除もお母さんがシュートくんより「絶対優位」だが,

シュートくんとお母さんの関係では,シュートくんにとって「部屋の掃除」が「比較優位」なのだ。

「何をやらしてもあいつはダメだ」,ではなく「比較優位」なことを見つけて分担するほうがみんなで楽できるやり方なのである。